1990 年代のダンスミュージックやディスコサウンドを愛する人なら聞き覚えがあるであろうアーティストの「Technotronic」。
「Pump Up The Jam」や「Get Up」などの世界的ヒットを世に送り出し、実は 2000 年代に入るまで活動していたグループである。
ディスコではもちろん、日本がクラブ時代へと変貌していく 1990 年中期にも「Move It To The Rhythm」のヒットを放ったことは衝撃的だった。
この「Move It To The Rhythm」は、これまでのハウス・ビートから一転し、ヨーロッパやイギリスで主流となっていたアッパーなユーロダンスとなっていたからである。
「Cappella」や「Colona」、「Masterboy」などを例に上げるまでもなく、ダンスチャート上位に食い込むのはユーロダンス・アーティストが多く、かの「Technotronic」もこれに追従したのだ。
このインパクトから 30 年が経ち・・・2021 年、当時のオールドスクールなユーロダンスのスピリットとパッションを持ったアーティストが誕生した。
「Eurotronic」である。
この「Eurotronic」のメンバーはラッパーの「Zooom」こと「Michael Priestas」と、シンガーやピアニスト、モデルなど多彩な顔を持つ「Timi Kullai」の二人。
彼らは 1980 ~ 90 年代の音楽への情熱を強く持っており、それが結実したのが伝説的なユーロダンス・ヒット「Omen III/Magic Affair」のカバー。
その後も「Tribal Dance/2 Unlimited」や「Baby Baby/Colona」など、数々のユーロダンスの名曲をカバーし、一部のダンスミュージック・ファンに好評であった。
特に「Baby Baby」は、本家同様の迫力あるボーカルに度肝を抜かれたものである・・・この時代に、恐ろしいアーティストが誕生してしまったのだ。
そんな彼らのアルバムより、気になるサウンドがあったのでご紹介。
やはり、1990 年代中期にヨーロッパやイギリスは当然の如く、ジュリアナ・テクノ全盛期の日本でも人気だった「Move On Baby/Cappella」のカバーである。
現在の日本において「Cappella」といえば、現在では「U & Me (B4 ZA Beat Remix)」一択であるが、かつては「2 Unlimited」と並んで「Take Me Away」を皮切りに「U Got 2 Know」「U Got 2 Let The Music」「Move It Up」「The Big Beat」などヒットを量産しまくったプロジェクトだ。
彼らの楽曲の中でも、取り分けて海外チャートを荒らした名曲「Move On Baby」をカバーというのだから、期待できないわけがない。
残念ながらシングルカットはされておらず、アルバムのみの収録であるが、聞く価値は大いにあるだろう。
1990 年代のサウンドを忠実に再現し、「Zooom」の高速ラップと「Timi Kullai」の 3 オクターブの声域から出る迫力のボーカルが組み合わさり、最新型のユーロダンスが具現化されたというのは実に意味深い。
今後も新しいユーロダンス・アーティストが登場してくることを願ってやまない。
まずは「Eurotronic」の活躍を祈る。
Move On Baby (Mykotank Mix)/Eurotronic, Timi Kullai & Zooom