学生のみなさんの中には勉強だけではなく、部活動にも打ち込んでいる人も結構いるでしょう。勉強も大切ですが、部活動での経験も将来たいへん役に立ちます。
そこで知り合った友人、先輩・後輩も大切な存在となるでしょう。わたしも、高校では空手道部に所属していましたが、そのときの仲間は今でも付き合いがあります。
学校生活では部活動も大事
先輩は大学に進学したとき、生活面や大学での勉強などいろいろ教えてもらいました。同輩は現在、いろんな職業についていて、困ったことがあったらお互いに助けあっています。家庭教師を頼まれたことも何度かありました。
勉強だけでなく、部活もがんばるとなると、なかなか大変です。しかし、部活動で活躍している生徒は、勉強でも成果を出している子が多いのも事実です。
共通しているのは、時間の管理が上手であること。人には平等に同じ時間が与えられます。限られた時間を効率よく使うことができる人は、どんな分野でも活躍できるのです。
失敗を恐れない
今回は、特に部活動でスポーツをやっている方に覚えておいてほしい名言です。
最近の生徒は失敗することを極度に恐れていまる感じがしますね。そして、そういった失敗の経験も少ないため、ちょっとしたミスでも落ち込んだりします。
もちろん、それはつらいことではありますが、結果を出している人は落ち込んでもすぐに立ち直って、次へと進んでいきます。いつまでもくよくよしていると、その分離れていくのです。
鈴木康之著「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」に、アシックス創業者である鬼塚喜八郎氏のエピソードが載っており、このスポーツマン精神5か条は今の生徒達にすごく大切な精神でしょう。
鬼塚喜八郎は、毎年新入社員を前にして、古代から近代へと引き継がれたスポーツマン精神5か条を、いつも声高らかに読み上げていた。
(第1条)スポーツマンは、常にルールを守り、仲間に対して不信な行動をしない。
(第2条)スポーツマンは、礼儀重んじ、フェアプレーの精神に徹し、いかなる相手もあなどらず、たじろがず、威張らず、不正を憎み、正々堂々と尋常に勝負する。
(第3条)スポーツマンは、絶えず自己のベストを尽くし、最後まで戦う。
(第4条)スポーツマンは、チームの中の一員として時には犠牲的精神を発揮し、チームが最高の勝利を得るために闘わなければいけない。そこに信頼する良き友を得る。
(第5条)スポーツマンは常に健康に留意し、絶えず練習の体験を積み重ね、人間能力の限界を拡大し、いついかなる時でもタイミング良く全力を発揮する習慣を養うことが必要である。
戦後の混乱期、スポーツの意味することが、これからの生活、社会、ビジネスなどあらゆる場面に必要になると感じた鬼塚喜八郎。人間の価値基準や行動基準が変わり、人々が穏やかな気持ちで過ごすことが困難になりつつある昨今、ここで定義されているスポーツマンは、確かに、現代で生きるすべての人の道標になると思う。
そして、ここに新たな条項をひとつ、加えたい。
(第6条)スポーツマンは、ころんだら、起きればよい。失敗しても成功するまでやればよい。
――「ころんだら、起きればよい。鬼塚喜八郎『失敗の履歴書』」より
アシックス創業者・鬼塚喜八郎氏が亡くなられたときに作られたコピーです。スポーツマンのみならず、今に生きる人みんなに必要な条項でしょう。
スポーツマン精神5か条、そして追加された新たな6条目・・・どれも、スポーツマンとして大切な項目だと思います。
部活でも勉強でも、このスポーツマン精神に則り、失敗しても成功するまでやり続ける強さを身につけたいものです。
名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方 / 鈴木康行(日経ビジネス文庫)