最近はバライティ番組ばかりとなってしまいましたが、かつては純然に知識を競い合うクイズ番組が盛んでした。そんなクイズ王のひとりである日高大介氏の著書「クイズ王の『超効率』勉強法」を読んでいて、どんな難解なクイズも一瞬で回答を出してしまうあの知識が、実は意外と正攻法な勉強法だと知って驚きました。
日高氏は難関である漢字検定1級を、わずか3ヶ月で合格しました。その勉強法なのですが、実に単純なものです。
クイズ王の知識力の源とは
それは、対策問題集をコツコツとやっていくこと。
誰でもやってるじゃん・・・ということになるのですが、ではその問題集をどれだけ使って勉強しているでしょうか。
ただ問題集を解いて書き写すだけではありません。これが非常に有効だったのですが、僕は「同じ問題集を何周も何周も繰り返す」という方法を自然にやっていたのです。それも一冊だけではありませんでした。複数の問題集に対して、飽きずに何周も何周も繰り返し、問題を読み続けたのです。一冊につき、多いものではこれまでに五十周くらいしたクイズ本もあります。最低でも十周はしたものばかりです。
クイズ王は同じ問題集を繰り返し、何十回も読み続けていたのです。勉強が出来ない、テストで点が取れないと嘆いている人は、はたして何冊の問題集を何回解いているのでしょうか。
このようにクイズ王は、問題集を繰り返しコツコツと解いていくことを、少しずつ積み重ねて知識を得ていたのです。勉強も同じく、毎日コツコツと問題集を解いていくことを続ければ、確実にテストの点数もよくなります。
要は「続けるか、続けないか」でしょう。
漢字検定の勉強法の総括
本書ではクイズ王が漢字検定一級合格したときの勉強法がまとめられており、ここでは3つのステップで総括されています。
・ステップ1:まず、どんな問題が出るのかを知る
・ステップ2:傾向に合わせて自分のなかに知識を吸収する
・ステップ3:実践練習
ステップ1
ステップ1では、どんな問題が出るのかを知るとあります。これは、いくつもの問題集を解いて、傾向を知ることです。何度も問題集を解いていくうちに、出題される問題とそうでない問題がわかるようになります。
女優の宮崎美子さんも漢検一級に合格されてますが「漢字を覚えるのは人の顔を覚えるのと非常に似ている」と著書で書かれています。
何度も同じ人と合ううちに、その人の名前と顔が一致し、性格もわかってくるというのです。名前と顔を「読みと書き」、性格を「漢字の意味」とでもすればいいでしょうか。
何度も解いて回数を重ねていく、というのは検定なりテストなりの全体を把握するためにも必要なのです。なお、氏の分析ではおよそ六割の漢字が毎年出題される「基本漢字」とのこと。
テストも毎年出る基本的な問題というのがあり、このレギュラー問題を抑えれば、半分以上の問題を解けることになります。
ステップ2
漢検で前述の「基本漢字」を頻出ランクA(約6割)とすると、年に一度出るような漢字・あるいは過去に読み問題として出た漢字が新たに書き問題として出るような「応用漢字」が頻出ランクB(約3割)。初めて出題される「新出漢字」を頻出ランクC(約1割)としています。
ここではランクBの応用を集中的に勉強します。
基本を抑え、応用ができれば9割も問題が解けるということです。
本書にクイズとして、このような問題が出ています。
問題:ため息の主な成分は何?
クイズの基本問題に「人間の吐く息のなかに、最も多く含まれている成分は何?」という問題があるそうですが、これの応用ということになるでしょうか。
テストの中にはちょっとひねった問題もありますが、応用力を身につけることで解くことができます。例えば、ただ漢字を覚えるだけでなく、熟語や意味などもしっかり知識として吸収することで、応用力が高まるでしょう。
ステップ3はそのままですね。何度も模擬テストで自身の実力を試します。
基本を続けることが大事
クイズ王の勉強法ということで非常に興味深いと思い購入した本ですが、改めて「何度も問題集を解いて基本を知る」「応用力を身に付ける」大切さを理解しました。
早押しクイズでは、問題が完全に出題される前に回答を出したりする選手も多いです。テストでも問題を読んだ瞬間に「あ、この問題か」とわかるようになれば楽しくなるでしょう。
本書でも勉強は「ゲームのように」が強調されています。何度も問題集を解いて経験値をため、レベルアップして、ボス(試験)に挑む・・・その思考も勉強には大切なような気がします。
そのプロセスをわかりやすく解説されており、楽しんで読めた本です。
クイズ王の「超効率」勉強法 / 日高大介(PHP新書)