2010年に日本ボードゲーム大賞を受賞した「キャット&チョコレート」というカードゲームがあります。幽霊屋敷編のほか、学園編・ビジネス編・日常編が出ており、評価の高いゲームです。海外では「テキサスゾンビーズ」という名称で発売されたこともあります。
大量の血や幽霊や生ける屍など、発生するアクシデントを猫やチョコレートといったアイテムカードで切り抜けなければいけないのですが、ここで必要になってくるのがひらめきとアドリブ。自由なイマジネーションで、到底無理な回避方法でも他のプレイヤーを納得させるだけの説得力があればいいのです。
「チョコレートで猫をおびきよせ、その猫に口づけをし、酸素を分けてもらう!」
引用魔女館からの脱出・あとがきより
こんな回避方法だってできちゃう! それが「キャット&チョコレート」というゲームです。
発想力と瞬発的な思考力が試されるゲームであるため、ハマる人はとことんハマるんですが・・・論理的・現実的思考の方には相性が悪いようで、賛否両論の多いゲームでした。
ゲームノベル「魔女館からの脱出」
この「キャット&チョコレート」幽霊屋敷編を題材にしたゲームブック(本作ではゲームノベルと称しています)がゲームノベル「魔女館からの脱出」です。作者はカードゲームを制作した秋口ぎぐる先生本人。イラストはリヨ先生です。
ゲームブックは「パラグラフ」という番号が文章の後に出現し「~する場合は何番に行け」など、そのパラグラフを辿ってストーリーを進めていきます。「魔女館からの脱出」も段落番号と呼ばれるパラグラフみたいものを辿っていくのは同じですが、途中で「キャット&チョコレート」らしく複数のアイテムを使ってアクシデントを乗り越えなくてはいけない場面が登場します。
たとえば、襲いかかってくる甲冑を動けないようにするため、8つのアイテムのうち2つを使い、ピンチを切り抜けなくてはいけない場面。ここでは、最初に使うアイテムと次に使うアイテムの番号を合わせた段落番号に行きます。
たとえば「キャット&チョコレート」的に「噛んだガムで滑らしてゴルフクラブでフルボッコ!」と考えたなら、ガムの3番とゴルフクラブの6番で「36」の段落番号へ行きます。そこで「~から来た人は正解!」と書かれてあるので、番号が一致していれば正解で話の続きを読むことができます。間違った場合は元のページに戻ります。忘れないように、しおりを挟んでおきましょう。
しおりもリヨ先生のイラスト。かわいいです。
このようにアクシデントを切り抜けながら、魔女館からの脱出を目指します。雰囲気的には、まえがきにも書かれているとおり脱出ゲームのノベル化といった感じ。ゲームブックよりもゲーム性が少なく、どちらかというとパズルを解くような感覚です。
ゲームブックを知らない人でも楽しめますし、逆にゲームブックを知っている人も新鮮な感覚で遊べるでしょう。