「E-Rotic」というアーティストを記憶しているでしょうか?
「Me & My」や「キャプテン・ジャック」「スマイル dk.」などといったユーロダンス・アーティストと共に、ダンスマニア世代なら懐かしい名前だと思います。
1994年に「Max Don’t Have Sex With Your Ex」でデビュー。
ドイツのシングルチャートでは7位まで上昇し、ヨーロッパ各国でもチャートインする大ヒットとなりました。
日本では「Dancemania 1」に収録され、その強烈な個性と音楽性でブランドに欠かせない人気アーティストに。
それはもう、1曲目からコンドームを模したマスコットのジャケットで「SEX」を連呼する曲ですから、印象に残らないはずがありません・・・。
以降、ダンスマニア・シリーズのメイン・アーティストの1人となるのでした。
途中でユーロダンスのアーティストらしく「ABBA」のカバーをやったり脱線もありましたが、その一貫したえっちいスタイルが人気の「E-Rotic」。
実はまだ活動していて、楽曲もリリースされているんですよ。
そんな彼らの名曲をご紹介していきたいと思います。
「E-Rotic」とは
読んで字の如く「エロティック」。
ジャケットも歌詞もエロティシズムに満ちた、情熱のユーロダンス・アーティスト。
今となっては、ジャケットをブログ乗せただけでGoogle先生にアドセンスを止められることになっちゃうくらいセンシティブです。
「E-Rotic」はドイツのプロデューサーである「David Brandes」によって結成されたユーロダンス・アクト。
元々は「Lyane Leigh」がゲストボーカルとして参加した「David Brandes」のソロシングル「Helpless Dancer」が原型。
1994年にラッパーの「Raz-Ma-Taz(a.k.a. Richard Michael Smith)」が加わり、グループとして「E-Rotic」が誕生します。
ファーストシングル「Max Don’t Have Sex With Your Ex」に続き「Fred Come to Bed」や「Sex on the Phone」もドイツのシングルチャート上位に入るほど好調でしたが、セカンドアルバムのリード曲「Willy Use a Billy… Boy」のリリース後に「Lyane Leigh」と「Raz-Ma-Taz」が脱退。
どうやらプロデューサーの「David Brandes」といざこざがあったようで、特にPVやジャケットワークなどに自身の登場させないことからライブでのアーティストへの反応が悪く、それに不満を持ったようです。
この2人は後に「S.E.X. Appeal」というグループを結成し、「E-Rotic」を継承しつつアーティストを全面に押し出した展開をしています。
「Help Me Dr.Dick」以降、ボーカルは「Jeanette Christensen」、ラッパーは「Terence d’Arby」へとチェンジ。
・・・と言うのは表向きで、実はボーカルは引き続き「Lyane Leigh」が担当していて、「Jeanette Christensen」はモデル・口パクのパフォーマーでした。
ラッパーも実はプロデューサーの「David Brandes」がずっと担当して、他のラッパーもただのパフォーマーでしかありませんでした(ファーストシングルは「Marcus Thomas」というラッパー、ファーストアルバムはいくつか「Raz-Ma-Taz」が担当)。
まぁ、メンバーがグチャグチャなのはユーロダンスらしいところなのです。
1997年にスウェーデンの伝説的アーティスト「ABBA」のカバーアルバムを発表。
1999年に「Kiss Me」を発表し、これまでの路線に回帰します。
2001年に日本でのレーベル契約が「avex」へと変更し、アルバム「Sex Generation」「Cocktail E-Rotic」をリリース。
以降、「E-Rotic」の活動は停止していました。
2006年にボーカルの「Lyane Leigh」が復帰し活動再開。シングル「Video Starlet」がリリースされました。
しかし、これまでの明るいユーロダンス路線ではなく、EDMのスタイルを取り入れたサウンドへチェンジしています。
2018年に「Mr. Mister」、2020年に「Max Don‘t Have Sex with Your Ex – Reboot 21」をリリース。
2021年は「Murder Me ’21」「Head Over Heels」「Heaven Can Wait」の3曲をリリースして絶好調です。
「E-Rotic」の名曲10選
さて、ここから「E-Rotic」の数ある楽曲の中から10曲をご紹介していきたいと思います。
ユーロビートやハイパーテクノ、トランスにリミックスされた楽曲も多いので、意外とクラブでも耳にすることがありました。
テクパラ(テクノで踊るパラパラ)が付いている楽曲も多数あり、現在でもクラブでプレイされることがあります。
ジャケットがセンシティブでGoogle先生に怒られるので、いつものように掲載はしていませんがご了承ください・・・。
動画も案の定18禁指定になっていて、外部プレイヤーで見ることができないのでYoutubeの「E-Rotic」公式チャンネルに飛んでください。
1:Max Don‘t Have Sex with Your Ex
1994年にリリースされた「E-Rotic」の記念すべきファーストシングル。
ドイツのシングルチャートで7位を記録し、ベルギーでは8位、オランダでは4位の大ヒットとなり、ヨーロッパ各国で人気になります。
1995年にはイギリスのシングルチャートで45位と「E-Rotic」で最も成功した曲のひとつとなっています。
ダンスマニアが最初に「E-Rotic」を収録したと思ってる方も多いですが・・・実は日本へ最初に持ち込んだのは、小室哲哉が主催する「Eurogroove」でした。
コンピレーションCD「Eurogroove #04」に「Max Don’t Have Sex With Your Ex」が収録されましたが、残念ながら当時の日本では全く反応はありませんでした。
1996年にダンスマニアへ「E-Rotic」の事実上日本ファーストシングル「Willy Use A Billy …Boy」収録され、一気に知名度を高めていきます。
日本ではあまり注目されなかったのですが、現地では人気曲であり、よくわからん無名アーティストによってたくさんのカバー曲も存在します。
2:Fred Come to Bed
こちらはセカンドシングル。
「Dancemania 1」の2曲目として収録されていますが、この曲も日本では全く人気がありませんね・・・。
それだけ「Willy Use A Billy …Boy」のインパクトが強かったということでしょう。
ヨーロッパでは1番チャートアクションがよかった楽曲であり、ドイツでは「Max Don’t Have Sex With Your Ex」を凌ぐシングルチャート3位を記録する大ヒット曲です。
オーストリアでは5位、フィンランドでは6位と各国で軒並みヒットした名曲ですので、この機会に再チェックしてみてはどうでしょうか?
3:Sex on the Phone
続いてサードシングル。
やはり「E-Rotic」は初期の楽曲の印象が強いですね・・・。
こちらもヨーロッパで大ヒットしたナンバーであり、特にオーストリアでは2位まで上り詰める人気を獲得しました。
ダンスマニアには「Dancemania 1」へこの曲を含む3曲同時収録されたこともあって、「E-Rotic」を大きく印象付けたといえます。
4:Willy Use a Billy… Boy
セカンドアルバム「The Power of Sex」のリードシングル。
こちらもヨーロッパ各国でヒットし、ドイツでは25万枚以上を売り上げてゴールドディスクを獲得しています。
日本ではデビューシングルとして「Dancemania 1」に収録。
あえてこの曲を日本のファーストシングルとして選曲したのは、ディレクターの手腕がすばらしかったと言えるでしょう。
この曲は「コンドームを使いましょう」というメッセージソングでもあります。
当時、ヨーロッパでも「HIV」が深刻な問題となっており、日本ではネタ曲と思われている以上に強い意味合いのある曲です。
1996年には人気ユーロダンス・グループ「Masterboy」が主催する「HIV」のチャリティーソング「Love Message」がリリース。
「Masterboy」に加え「E-Rotic」の他、「Scooter」「Fun Factory」「Worlds Apart」「Mr. President」「U96」と人気ユーロダンス・アーティストが集結する強力なナンバーとなっています。
様々な意味でこの曲は「E-Rotic」を代表する1曲と言えるでしょう。
5.Help Me Dr.Dick
ドクター「ディック」・・・いいタイトル名ですよね(意味をパパに聴いちゃだめよ?)!
これまでのBPMの早いユーロダンスから一転して、ミディアムテンポのダンスポップ・ナンバーとなっていて「E-Rotic」の中では異色の楽曲です。
人気が定着してから世界的にヒットしやすいダンスポップにスタイルをチェンジするのも、ユーロダンス・アーティストにありがちな展開。
そういった意味で戦略的な1曲でしたが、残念ながら「E-Rotic」には求められていなかったようで、これまで通りのユーロダンス・スタイルに戻ります。
ダンスマニアには「Dancemania 3」の1曲目として収録されました。
6:Turn Me On
サードアルバム「Sexual Madness」からのリードシングル。
この曲以降「ABBA」のカバーアルバム「Thank You for the Music」のため、しばらくカバーソングが続きます。
この頃は一部では本格的な世界戦略のために「エロ」を捨てるのか! と批判もあったりはしましたが・・・。
結局、元のスタイルに戻って一安心といった感じでした。
ダンスマニアには「Dancemania 6」の1曲目に収録。
「Dancemania Speed 2 」にはハイスピード・バージョン「Turn Me On (Heavenly Mix)」が収録されています。
アーケードゲーム「Dance Dance Revorution 3rd Mix」にも収録されているので、「DDR」ファンにも記憶に残っているナンバーかもしれません。
7.Do It All Night
5枚目のアルバム「Kiss Me(海外では「Mambo No. Sex」で収録曲が違う)」からはタイトル曲の「Kiss Me」と「Oh Nick Please Not So Quick」がシングルカットされていますが、こちらは日本独自のアルバムカット。
海外ではリリースされていないものの、哀愁感あるハイパーなユーロダンスサウンドは日本人の感性にマッチすることで意外にもヒット。
「DDR」にも収録されたことで、逆に海外にも知れ渡りました。
テクパラも付いており、クラブでもよくプレイされたナンバーです。
8:Billy Jive (With Willy’s Wife)
8枚目のアルバム「Sex Generation」からのリードシングル。
「E-Rotic」ってこんなにアルバム出していたのか・・・と、ビックリしちゃいますね!
日本ではダンスマニアの「i-dance」から「avex」に移籍。
ダンスマニアシリーズのプロデューサーが新たに立ち上げた「Ultra Dance」シリーズに収録されました。
ということで、あまり記憶してる人はいないかもしれませんが・・・当時、日本は第三次ユーロビート・ブームが落ち着いて新たにハイパーテクノが注目されていた時期。
この曲も横田商会こと「Y & Co.」がハイパーテクノにリミックスして、クラブでよくプレイされていました。
一般のリスナーよりもクラバーの記憶にある楽曲で、ダンスマニア系ではないことから埋もれてしまった曲な感じですね。
9:King Kong
「Billy Jive」同様「Sex Generation」からのシングルカット。
多分「E-Rotic」バージョンは全く知名度がないはずですが、日本ではアイドルグループ「HINOIチーム」によってカバーされています。
ということで、もしかしたら日本語バージョンで記憶してる人がいるかもしれません。
「HINOIチーム」のバージョンではユーロビートのリミックスもあり、こちらもクラブでパラパラが踊られていました。
原曲もいいので、この機会に聴いてみて!
10:Cat’s Eye (Ventura Remix)
キャッツ・アイということで、お察しの通りアニメ「キャッツ・アイ(杏里)」のテーマ曲のカバーですね。
こちらはユーロビートにリミックスされたバージョンになります・・・が、原曲そのものがリリースされたというのは聴いたことがありません。
アニソンとユーロビートというのは昔から関係が根深く、当時は「コスパラ」と言われたコスプレでパラパラを踊るイベントがありました(今で言う「アニクラ」の原型)。
ユーロビートにアレンジされたアニソンも数多く、当然「キャッツ・アイ」のパラパラも存在します。
ということで、こちらもクラブで流れていた楽曲ですね。
普通の「E-Rotic」ファンは知らないかもしれませんが、唐突にアニクラでもプレイされて体が反応しちゃうことがあったりして、ぼくの記憶に残る1曲でした。
まとめ
ということで「E-Rotic」の名曲をご紹介しました。
現在は復活して楽曲もリリースされていますが、サウンドに変化があるので、もしかしたらあまり好きじゃないという方もいるかもしれません。
近年、昔のユーロダンス・スタイルの楽曲が見直されていて、当時のようなサウンドを再現するアーティストも多くいます。
「E-Rotic」も、古き良きユーロダンスへと戻らないかな・・・なんて思いますね。