おにいちゃんは「ハッピーハンドバッグ」という音楽ジャンル知ってますか?
1990年代中期に一瞬だけ流行ったダンスミュージックなんですが、最近ぼくの周りでもよく話題にあがるようになってきたのでご紹介します!
そう、ハッピーハンドバッグは男の娘に似合う音楽なんです!
ハッピーハンドバッグとは
ハッピーハンドバッグは元々、1990 年代中期にダンスミュージックの魔窟であるイギリスのゲイクラブで主流だったハウスサウンドを指し、「ハンドバッグ・ハウス」あるいは「ディーヴァ・ハウス」と言われていました。
ウィキペディア「Diva house」によれば、「クラブに来た女性グループがハンドバッグの山を囲んで踊る」ことからきているようです。
U.K. クラブ・シーンにおいてゲイクラブやゲイカルチャーがメインストリームになるにつれ、ハンドバッグ・ハウスがクラブカルチャーの主流となり、男の娘がハンドバッグを持って踊るようになりました。
つまるところ、ハンドバッグは男の娘のサウンドなのです!
1994 年頃からこうした男の娘に親しまれるハッピーなハウスサウンドがイギリスのクラブチャートに食い込むようになりました。
特に全英チャート 4 位・クラブプレイ 1 位に躍り出た大アンセム「U Sure Do/Strike」が有名な「Fresh Records」や、名曲のダンスカバーが人気で日本でも「ダンスマニア」シリーズでおなじみの「Almighty Records」が代表的なレーベル。
これらの楽曲に目をつけたのが「avex」。
しかし、今になってようやく「LGBTQ+」が理解されつつあるという現状、90 年代の日本でゲイカルチャーは到底受け入れられるものではありませんでした。
そこで、ゲイサウンドというイメージを無くすため、「avex」はこれらのサウンドを「ハッピー・ハウス」として売り出しました。
女性ボーカルを中心とし、イタロ・ハウスやガラージ・ハウスなどの影響を色濃く感じるポップでメロディアルなハウス・サウンドについてこのような呼び方が定着し始めている。最近ではよりR&B的なアプローチをとったサウンドに人気が集まっているようだ。
– Velfarre vol.3 ジャンル解説より引用
楽曲が日本のディスコでも広まるにつれ、エイベックスの資本店であるディスコ「ヴェルファーレ」では “女性が” ハンドバッグを持って踊るというプロモーションを展開。
そして、実際に「ハッピーハンドバッグ」が売り出されました。
こうして、ジャンル名もハッピー・ハウスから「ハッピーハンドバッグ」と変更されることになるのです。
もともと UK で起こったムーヴメントで、「ハンドバッグを持ったままでも気軽に踊れるようなポップなハウス・ミュージック」ということろから由来しており、そのサウンドもかなり広範にわたるものが多い。しかし、ヴェルファーレにおいては「ハッピー・ハウス」がプレイされる時にハンドバッグを持って踊る人が集中してきたため、次第にこのジャンルを「ハッピー・ハンドバッグ」と呼ぶようになった。つまり、「ハッピー・ハンドバッグ」というのは音楽的に「ハッピー・ハウス」とイコールなのである。
– Velfarre vol.5 ジャンル解説より引用
日本においては女性がハンドバッグを持って踊るダンスミュージックになってしまいましたが、本来は男の娘のサウンド!
サブカルチャーにおいても男の娘はもはや普通な存在ですし、今こそハッピーハンドバッグを!
実際、複雑なダンスミュージックが多い現在、明るくハッピーでわかりやすいサウンドということで、ダンスミュージック初心者にも聞きやすいとぼくの周りでも評判なんですよ?
おすすめのハッピーハンドバッグ
ハンドバッグにはサブジャンルとして、よりテクノ・トランス・ハッピーハードコアに影響を受けた「ハードバッグ」が存在します。
日本ではこれらが混同されることがよくあるのですが、好みが分かれることろなので今回はご紹介しません!
それじゃ、Here We Go!
U Sure Do/Strike
ハンドバッグの代表的なサウンドで、90 年代ダンスミュージックの歴史に残る名曲のひとつ。1994 年のリリース後、アンダーグラウンドで徐々に人気を獲得し、95 年の再リリースで大爆発。全英チャート4位を記録する大ヒットとなる。「Serious/Donna Allen」をサンプリングし、またシンセサイザーのリフに「Night in Motion/Cubic 22」をサンプリングしていることから、ジュリアナ東京の影響が残る当時の日本のディスコシーンでも受け入れられた。
Inspiration/Strike
リリースはハンドバッグの人気が停滞した 1996 年であるため、当時はほとんど耳にすることがなかったが、やはり日本においてストライクの楽曲といえば、こちらを優先しなくてはならない。トランス寄りの幻想的なサウンドがマニアに受け入れられアンダーグラウンドでは人気が高かったのだが、レコードが少なく「幻のヒット」と呼ばれていたナンバーである。2000 年頃より発生したトランスブーム時には、最新のトランスサウンドにリメイクされ、再び日の目を見ることとなった。
Keep Love Together/Love To Infinity
マイケル・ジャクソンやグロリア・エステファン、セリーヌ・ディオンといった錚々たるアーティストの楽曲リミックスを担当した実力派プロデューサー・チーム。ボーカルにルイーズ・ベイリーを迎え、1993 年よりアーティストとして活動。95 年リリースのサードシングル「Keep Love Together」が U.K. チャート 39 位のヒットとなり、日本でも「Someday」「Pray For Love」がチャートイン。また、往年のディスコアーティストであるシェリル・リンの「Got To Be Real」をリミックスするなど「Classic Paradise Mix」のブランドは日本においても人気であった。
Guarantee For My Heart (Classic Vocal Mix)/Cheryl Lynn
前述の「Got To Be Real ’95(Classic Paradise Mix)」で再びディスコにその名前が登場したシェリル・リン。「Good Time」に続くエイベックス移籍後のリリース第二弾である「Guarantee For My Heart」は「Love To Infinity」もリミキサーとして参加している。
Love Come Rescue Me/Lovestation feat.Lisa Hunt
「Fresh Records」を設立した「Vicky Aspinall」と「Dave Morgan」によるプロデューサー・ユニットが「Lovestation」。当初のリリースは 1992 年であり、ゴスペル・シンガーのリサ・ハントをゲストに迎えた、ダイナミックなボーカルが冴え渡るガラージテイストの強いディープなハウスサウンドだった。94 年に再リリースされた新バージョン「Lovestation Club Mix」は、代表アーティストであるストライク擁するレーベルだけに「ハッピーハンドバッグ」のスタンダードというべきナンバー。残念ながら日本ではまったく紹介されていない。
Feel The Spirit/Giant City
こちらもハンドバッグ・レーベル「Fresh Records」からのナンバー。ハンドバッグはガラージハウスをベースとしていることが多く、こちらもソウルフルなサウンドであるが、このジャンルでは珍しい男性ボーカルが特徴的な楽曲だ。リミキサーにストライクを迎え、完成度の高いハンドバッグサウンドとなっている。
I Luv U Baby/The Original
男性ボーカルのハンドバッグが続くが、こちらは全英チャート TOP2 に輝くメガヒット・チューンで、やはり 90 年代のダンスミュージックの歴史でも欠かすことのできないナンバーである。オリジナルは 94 年にリリースされたエレクトロ・スウィングであったが、95 年に「Dancing Divaz」によってリミックスされたバージョンが大きなチャート・アクションを起こした。「I Luv U Baby」といえば、この「Dancing Divaz Club Mix」を指す。日本でもヒットしており、リミックスチーム「MST」による「Red Monster Re-Edit」も存在する。
Your Love/Inner City
1988 年に「Good Life」「Big Fun」と立て続けに大ヒットを飛ばし、ダンスミュージックの歴史に大きな影響を及ぼしたエレクトロ・ミュージック・グループのインナー・シティがまさかのハンドバッグ参戦。ビルボードで史上最も成功したダンス・アーティストとして 69 位にノミネートされた彼らの作り上げるサウンドは、ハンドバッグでも十分に培われている。
History 95’/Mai Tai
オランダやイギリスで大ヒットし、そしてアメリカのダンスチャートでも TOP3 位に食い込んだマイタイの伝説的名曲がハンドバッグスタイルのガラージ・リミックスで再登場。「Your Love/Inner City」もそうだが、どちらかというとリスナーよりも DJ が好んだ楽曲であった。
3 Is Family (T-Empo Mix)/Dana Dawson
14 歳から歌手活動を始め、EMIと契約した実力派シンガーであるダナ・ドーソン。1995 年に全英チャートで 9 位まで上昇した、彼女の代表的なナンバーである。オリジナルはミディアムなダンスポップだが、こちらはハンドバッグスタイルのハウス・リミックス。フロアライクな「Dancing Divaz」のリミックスもあるが、「T-Empo」によるリミックスの方が踊るにもリスニングにも優しい。
Rescue Me (Love To Infinity Mix)/Eurogroove
小室哲哉によるインターナショナル・プロジェクトである「Eurogroove」。オリジナルはカイリー・ミノーグの妹であるダニー・ミノーグをゲストに迎えたユーロダンスで、日本では映画「写楽」のテーマソングとなっている。こちらは U.K. のプロジェクトによるもので、より本場のダンスミュージック・シーンに近づけるために再構築された楽曲。そのため、サウンドも歌詞も全く違ったものとなっている。
Are You Man Enough/Uno Clio feat.Martine McCutcheon
ロンドン中心に活動するリミキサー「Uno Clio」が、後に「Edyta Górniak」のカバー曲「Perfect Moment」で全英チャート 1 位を獲得するシンガー・女優の「Martine McCutcheon」をフィーチャーしたハンドバッグ。スタンダードなガラージに重厚なピアノとセクシーなボーカルが重なり、妖艶なハンドバッグ・サウンドとなっている。全英首位ヒットを放つ前の彼女の才能を見抜いた「Uno Clio」の眼力にも脱帽する。
Beautiful Life (Uno Clio Mix)/Ace Of Base
「ABBA」の再来とも言われたスゥエーデッシュ・ポップ・グループの「Ace Of Base」のヒットナンバー。原曲はこれまでのラガ・ポップ路線からユーロダンスへとチェンジして話題となったが、こちらは前述のリミキサー「Uno Clio」によるハンドバッグ・バージョン。
Sweet Funky Thing (Uno Clio Remix)/Eternal
「Stay」「Just A Step From Heaven」「Power Of A Woman」など数々のヒットナンバーを放った R&B グループの「Eternal」。プロモしか出回っていなかった「Sweet Funky Thing(House Remixes)」より、同じく「Uno Clio」によるハンドバッグ・バージョン。アンダーグラウンドだけではなく、意外にも当時はメジャーなアーティスト達もハンドバッグ・サウンドを取り入れていたのである。
I Wanna Dance With Somebody (Junior’s Happy Handbag Mix)/Whitney Houston
こちらも大御所のハッピー・ハンドバッグ・サウンド。オリジナルは 1987 年にアメリカ・イギリス・オーストラリアをはじめ、ヨーロッパ各国でもチャート首位を記録した大ヒットナンバーであるが、このリミックスは「Junior Vasquez」が 1996 年にリミックスしたハンドバッグ・バージョン。
That’s The Way Love Is/Volcano With Sam Cartwright
シカゴを拠点とするダンストリオ「Ten City」が 1989 年に全米クラブプレイチャートを制した伝説的名曲「That’s The Way Love Is」のカバー楽曲。「Byron Stingily」のファルセット・ボイスと、ディープかつメロディアスなシカゴ・ハウスがすでにハンドバッグ的なアプローチだったため、実際にハンドバッグとしてカバーされても違和感がなく日本でも人気ナンバーのひとつだった。
Do Watcha Do/Hyper Go Go feat.Adeva
英国はコルチェスター出身のハウスユニット・リミキサーである「Hyper Go Go」。1992 年にプログレッシヴ・ハウス・レーベル「Hooj Choons」よりリリースした「High」で注目を集めた彼らがハウス・ディーヴァ「Adeva」をゲストに迎えたナンバー。ガラージというよりはユーロダンス寄りのサウンドだが、「Adeva」のダイナミックなボーカルが気持ちいい「Hyper Go Go」独自のハンドバッグスタイル。アンダーグラウンド向けにディープなハウス・バージョンもある。
U.N.I.T.Y/Hyper Go Go feat.Adeva
前述の「Hyper Go Go」の「National Anthems」に収録されたナンバー。U.K. のみのリリースだったため、ほとんど知られていない。「Do Watcha Do」同様にアディーヴァがゲスト・ヴォーカルとして参加している。
Heart & Soul (Hyper Go Go Remix)/TSD
1995 年にイギリスで結成されたクレア、コッシー、ボニーによる 3 人組ポップ・グループ。「Heart & Soul」「Baby I Love You」の 2 枚(日本限定でクリスマスソング「Santa Claus Is Comin’ Town」をカバーしてる)のシングルをリリースするも、売れずに解散。クレアは後に「Steps」で大成功を収めるのだが・・・そんな彼女らのデビュー・ナンバーは「Hyper Go Go」による哀愁ハンドバッグ。ちなみに「Strike」によるリミックスも存在する。
Gotta Let You Go (Hyper Go Go Mix)/Dominica
オリジナルは 1994 年にリリースされ、オランダやドイツでヒットしたハウス。当時「Show Me Love/Robin S.」の大ヒットで同じようなハウスが多く出回っていたが、その中でも別格の人気を獲得しており、現在でもリミックスが制作されてクラブプレイされているほどである。こちらは 1995 年にリリースされた U.K. 版にのみ収録の「Hyper Go Go Mix」によるハンドバッグ・バージョン。
Feels So Good/Zero V.U.feat.Lorna B.
元々はハンドバッグ・コンピレーション「Velfarre presents Happy Handbag 3rd Scene」に収録された「Feel So Happy/Zero V.U. feat.Sister B.」という曲で、日本発注の楽曲である。歌詞へ意図的に「Your Happy Handbag」というワードを仕込み、日本人受けを狙ったが全くヒットせず。後に「avex U.K.」より「Feels So Good/Zero V.U.feat.Lorna B.」としてリリースされたという複雑な経緯のあるナンバー。「Zero V.U.」は小室哲哉の「Eurogroove」をはじめ、「安室奈美恵」「TRF」といった邦楽アーティストのリミックスも手掛けている「FKB」の覆面ユニット。ボーカルは日本でもヒットした「Do You Wanna Party/DJ Scott feat.Lorna B.」でもおなじみで、意外と実力派なプロジェクトであった。売れなかったけど。
Tokyo Go! (Hands In The Air Mix)/John Robinson
オリジナルは言わずとしれた 1993 年にリリースされたジュリアナ・テクノを代表する一曲。こちらは 1996 年にリミックスされて再リリースされたナンバー。リミキサーは上述の「FKB」であり、テクノがスタンダードなハンドバッグ・スタイルなサウンドへと変化している。
I Want Your Lovin’/John Robinson
引き続きジョン・ロビンソンのハンドバッグ・ナンバーで、 6 枚目のアルバムからのシングル・カット。タイトルもサウンドも明らかに「I Luv U Baby/The Orginal」を意識しており、日本でもこの曲が大きな影響があったことを伺い知れる。
Cyber Queen (Ballade Pour Adeline)/Sister Queen With Richard Clayderman
ダンスマニア系の珍しいハンドバッグ・ナンバー。ポップなユーロダンス中心のダンスマニアにおいて異色のドラァグクイーン・デュオによるハンドバッグということで、一部のガチマニアに注目された。このナンバーは名ピアニストのリチャード・クレイダーマンをゲストに迎えた狂気の一枚。ちなみに、ダンスマニアでも「ハンドバック・マニア」というハンドバッグ・コンピをリリースしている。
Plastic Summer (Handbag Mix)/Roll Days
非常に数少ないが、日本人アーティストによるハンドバッグも存在する。名曲「好きだよ ずっと好きでした」があまりにも有名なロックバンド「Roll Days」のリミックスEPに収録されたハンドバッグ・サウンド。ユーロビートである「好きだよ ずっと好きでした(Red Monster Mix)」は現在でもプレイされることがあるくらい人気であるが、対して「Plastic Summer(Handbag Mix)」は非常に影が薄いが・・・今こそ再注目されるべきではないだろうか?
Theme of Coming Century (Happy Handbag Mix)/Coming Century
V6 のデビューシングル「Music For The People」に収録されたカップリング曲のリミックス。プロモ・オンリーかつ、J-POP のリミックスとあって、クラブでプレイされるような楽曲ではないので知名度は全く無い。リミックスは「Through The Fire」や「Brand New World」の国内ヒット、ハンドバック・サウンド「Tonight Is The Night」、そして「What Goes Around Comes Around」の世界的ヒットで知られる GTS。
Body & Soul (Hand Bag Mix)/Speed
音楽バライティ番組から生まれたアイドルグループ「Speed」。意外にもデビューシングルにはリミックスが収録されており、グループで唯一のアレンジ楽曲として存在する。このように、当時は一時的ではあるが J-POP 界でもハンドバッグ・サウンドが注目されていたのである。
まとめ
ということで、ハッピーハンドバッグをご紹介しました!
今、巷では「平成レトロ」とかといって、1990年代中期の文化がナウいヤングに注目されてるそうです!
ハッピーハンドバッグもこの頃の音楽スタイルなので、まさにナウなヤングにドンピシャなサウンドなんですよ!
とにかく明るくてハッピー、複雑な要素がなくてわかりやすいダンスミュージックなので楽しいですよ?
ぜひ聞いてみてください!
特に男の娘におすすめ!
ハンドバッグ振り回して踊ってね!
それじゃ、See You!