70~80年代のディスコ復活と言われて結構時間が経った気がしますが、そんなディスコ人気もずいぶんと安定期に入ったという感じがします。
2010 年 11 月にマハラジャ六本木がオープンし、新しいディスコ時代の到来を感じさせました。続いて大阪、名古屋と続々とマハラジャがオープンし、2018 年にはついに大阪に「ジュリアナ東京」がオープンしました。
各地でディスコ・イベントも盛んに行われており、音楽チャートでも 90 年代前半にヒットしたユーロビートのカバーである DA PUMP の「U.S.A.」が大ヒットしています。
テレビ CM でもディスコソングが流れ、ネットコンテンツでもディスコを扱ったものが増えており、生活の中に自然とディスコがあるような状況ではないでしょうか。
そんな中、ついにディスコの帝王「マイケル・フォーチュナティ」が新たな CD を引っ提げてやってきました。
それも、全曲往年のディスコヒットのカバ-という、期待せずにはいられない内容となっています。
ついに発売された「ザ・ベスト・オブ・ディスコ・カバーズ」
マイケル・フォーチュナティのアルバムとしては 2008 年に発売された「GIVE ME UP -COMPLETE BEST OF MICHAEL FORTUNATI- 」以来、約 10 年ぶりとなる CD です。
今回は収録されている全 12 曲すべてディスコソングのカバーで、彼自身の大ヒット曲「Give Me Up」もセルフカバーという形で収録されています。
CD のプロデュースは元横浜マハラジャの DJ で、Remix チーム「横田商会(Y & Co.)」としても活躍している DJ BOSS。ディスコ界最重要人物の一人として、ディスコを知り尽くした BOSS 氏によるプロデュースということでもう間違いないでしょう。
楽曲は DJ BOSS が「Eat You Up」「You Spin Me Round」「Give Me Up」を担当。
Y & Co.が「Never Gonna Give You Up」「Together Forever」を。
リードトラックであるデッド・オア・アライブのカバー「Turn Around And Count 2 Ten」や「Too Many Broken Heart」は DJ Ken-Bow、DJ Hibiki、Kotaruによるユニット「Delaction」。
ヴィレッジ「Y.M.C.A.」&「Go West」、そして「New York City Night」は「オバチャン」こと「Overhead Champion」。
未だに人気の「恋のブンブン・ダラー」は sumijun が担当しています。
Y & Co.は日本でも「Monkey Dance」「Speedy Cat」「Boom Boom Disco Night」「Daisuke」「Sweet Rain」といったユーロビートを製作していますので、クオリティは言うまでもなく。
しかし、Delaction や Overhead Champion のサウンドは、彼らが元々トランス系の楽曲を製作してきたということもあって、ちょっと馴染めないという方もいるかもしれません。
でも、これが「現在進行形のディスコサウンド」です。70 年代も 80 年代も当時は常に最新のサウンドがかかっていました。今のディスコ最新サウンドはこのような楽曲です。
収録楽曲およびオリジナル
全曲ディスコヒットのカバーということで、デッド・オア・アライブやリック・アストリーといった PWL 勢を中心としたハイエナジー/ユーロビートと西城秀樹が「ヤングマン」としてカバーした「Y.M.C.A.」があまりにも有名なヴィレッジ・ピープルが主なところ。
どの楽曲も一度は聞いたことのあるものだと思います。
ラストにマイケル・フォーチュナティ自身のヒット曲「Give Me Up」をセルフカバーしています。
1:Turn Around And Count 2 Ten/Dead Or Alive
1980 年にイギリスのリバプールで結成されたバンドで PWL のストック・エイトケン・ウォーターマンのプロデュースで大ヒットした「You Spin Me Round」でブレイク。2016年にリーダーでボーカルのピート・バーンズさんが急逝されました。
2:Eat You Up/Angie Gold
邦題は「素敵なハイエナジーボーイ」で荻野目洋子がカバーした「ダンシング・ヒーロー」があまりにも有名。両者とも幾度となく Remix され、ディスコ・クラブでも長い間踊られた名曲です。「ダンシング・ヒーロー」は盆踊りの曲としても知られています。
3:You Spin Me Round (Like A Record)/Dead Or Alive
1 曲目に続き、デッド・オア・アライブがブレイクするきっかけとなった大ヒットナンバーのカバー。実は 2000 年にセルフカバーしているのはご存じでしょうか?
4:Never Gonna Give You Up/Rick Astley
ご存じ、ストック・エイトケン・ウォーターマンのプロデュースで世界的ヒットとなったリック・アストリーの代表曲。ネット世代でもいわゆる「釣り」でこの曲の動画へのリンクを張る「リックロール」が流行したことでよく知られています。
5:Together Forever/Rick Astley
続いてもリック・アストリーの大ヒット曲。「Never Gonna Give You Up」の翌年 1988 年にリリースされ、U.K. チャート 2 位、U.S. チャート 1 位を獲得。2014 年の来日公演のツアータイトルにも使用され、日本での認知度が高い一曲です。
6:New York City Night/Leif Garrett
人気アイドル「レイフ・ギャレット」の曲で、当初はシングル「Feel The Need」の B 面でしたが、注目を浴びたことから A 面曲として再リリースされヒットしました。この曲は田原俊彦がデビューシングル「哀愁でいと」としてカバーしています。
7:Y.M.C.A./Village People
「Macho Man」「In The Navy」「Can’t Stop The Music」など数々のディスコヒットを放ったヴィレッジ・ピープルの代表曲。西城秀樹がカバーした「ヤングマン」でもおなじみ。
8:Go West/Village People
こちらもヴィレッジ・ピープルのヒット曲として外せないナンバー。ペット・ショップ・ボーイズがカバーしたバージョンも有名です。最近では日本のアイドル「BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)」が「Go Waist」という曲名でカバーしています。
9:Too Many Broken Hearts/Jason Donovan
デビューシングル「Nothing Can Divide Us」が日本の洋楽チャートで 1 位、続くセカンドシングルでこちらも世界的にヒットしたナンバーです。子役時代の同期「カイリー・ミノーグ」とのデュエット曲「Especially For You」も人気。
10:Boom Boom Dollar/King Kong & D.Jungle Girls
ディスコ・ユーロビートで盛り上げに欠かすことのできないマストな1曲がこの「恋のブンブン・ダラー」です。現場では特に「Red Monster Remix」が人気でした。ハイパーバージョン「Boom Boom Dollar (K.O.G G3 Mix)」はダンスマニア・DDR世代に人気でした。
11:Boom Boom(Let’s Go Back To My Room)/Paul Lekakis
やはり、こちらもディスコに欠かせないポール・レカキスのヒットナンバー。俳優やモデルとしても活躍し、現在でも楽曲をリリースし続けています。2001 年には「Boom Boom(Let’s Go Back To My Room) (B4 Za Beat Mix)」がリリースされました。
12:Give Me Up/Michael Fortunati
そして、自身の大ヒット曲である「Give Me Up」をセルフカバー。楽曲もDJ BOSSがアレンジしており、当時の雰囲気を残しつつ現代風のユーロビートサウンドが気持ちいいナンバーです。次回があれば「Into The Night」や「Alleluia」「Let Me Down」等のヒット曲もぜひお願いします。
まとめ
全曲ディスコヒットのカバーという日本独自の企画 CD ですが、やはりマイケル・フォーチュナティの実力は衰えていませんね。
DOA のカバーに始まり、リック・アストリーやジェイソン・ドノヴァン、ヴィレッジピープルをはさみ、ブンダラ&ブンブンでガチ上げ、ブミーアップでとどめという、まさにディスコな CD でした。
マイケル・フォーチュナティは各時代の常に新しいダンスサウンド・ジャンルで歌ってきたからこそ、現代風のダンスアレンジでも違和感なく歌えていると感じます。
まだまだディスコブームは始まったばかり・・・これからも、さらにマイケル・フォーチュナティに期待したいと思います。