ディスコサウンドといえば、やはり洋楽が中心となります。アイドルなどをぶっこんでくる DJ もいたりはしましたが、当時は「ディスコで日本語なんて」という風潮があったのも確かです。日本人アーティストでも覆面ユニットとして英語で歌ってたりしていました。
1990 年代から、普通に邦楽アーティストによる日本語ディスコ曲をよく耳にするようになった感じがします。アイドルでもまずはユーロビートのカバーを歌って、ディスコから火をつけるというパターンが多く見られました。
ディスコ・コンピレーション CD でも日本人アーティストをピックアップしたものがいくつかありましたが、邦楽&洋楽それぞれのディスコ・ヒットを 2 枚組 CD でリリースというのは珍しい気がします。そんな邦楽ダンスミュージックも洋楽ディスコも大好きという方にピッタリな CD である「DISCO GROBAL CUTS」をご紹介します。
邦楽&洋楽ディスコヒットをコンパイルした「DISCO GROBAL CUTS」
邦楽サイドは 1980 ~ 90 年代の楽曲が中心で、リミックスバージョンが多く収録されています。誰もが知っている大ヒットナンバーから、隠れた名曲、こんなリミックスあったのかというなかなか通好みな選曲になっている気がします。
洋楽サイドは 1970 ~ 80 年代の典型的なディスコ サウンドで、知名度の高い定番曲がセレクトされています。
JPN SIDE
2枚組の大ボリュームのこのコンピレーション CD、まずは日本人アーティストによる「JPN SIDE」です。
いくつか 1990 年代~ 2000 年代前半にクラブヒットしたような楽曲も入っていますが、どれもフロア人気の高いナンバーでした。
01:Shangri-La/電気グルーヴ
石野卓球とピエール瀧が 1989 年に結成した和製テクノユニットである電気グルーヴ。彼らのヒット曲の中でも特に人気と知名度の高いナンバーでしょう。日産自動車の「テラノ」の CM ソングにも起用され、ファンのみならず多くの人に支持された名曲です。カバーしているアーティストも結構いまので、チェックしてみると面白いかもしれません。
02:TECHNOPOLIS(THE READYMADE/DARLIN’ OF DISCOTHEQUE TRACK)/YMO
細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人を中心としたユニット「イエロー・マジック・オーケストラ」通称「YMO」のセカンドアルバムのリードシングルとしてリリースされた大ヒット曲で、YMO の代表曲としてもよく名を上がられるナンバーでしょう。このバージョンはピチカート・ファイヴの一員としても知られる小西康陽がリミックスしています。「YMO Remixes TECHNOPOKIS 2000」には上記の電気グルーヴがリミックスしたバージョンが収録されています。
03:Choo Choo TRAIN ~ NATIVE(Love Jungle MIX)/中西圭三
ダンスユニット ZOO が 1991 年に大ヒットさせたご存知「Choo Choo TRAIN」、近年では EXILE によってカバーされて再び大ヒットしたのは記憶に新しいことでしょう。こちらは作曲を手がけている中西圭三が自ら歌ったセルフカバー・バージョンです。
04:恋のブギ・ウギ・トレイン(Groove That Soul Mix – Radio Edition)/ANN LEWIS
言うまでもなく 1979 年にリリースされたアン・ルイスの大ヒット曲で、作曲を山下達郎が手がけています。こちらは 2000 年にリリースされたリミックス・バージョンで、制作を担当しているのはチャカ・カーンの名曲「Throught The Fire」のハウスカバーで一躍有名になった和製ハウス・ユニット GTS の SATOSHI HIDAKA です。GTS でもアン・ルイスをフィーチャーしており、 2002 年にリリースされた GTS のベストアルバム「Greatest Hits & Works」に収録された「Wonderland/GTS feat.アン・ルイス」という曲が存在します。
05:Joy Love Happiness(GROOVE THAT SOUL MIX – RADIO EDIT)/mimi
旧芸名は宮本典子で日本の ソウル/R&B シーンで活躍。アメリカでもシンガーとして活動していた mimi。このナンバーは 1999 年にリリースされたヒット曲で、当時クラブで人気だった GTS によるリミックス。アン・ルイス同様に GTS でもボーカリストとして参加しており、アルバム「Future Classics」で「Good Times/GTS feat.mimi」という曲を歌っています。
06:カルメン ’77(REAL BRAND-NEW MIX ’96)/ピンク・レディー
1970 年代を代表する人気アイドルデュオとして絶大な人気を博したご存知ピンク・レディの第三弾シングルで、オリコン 1 位を記録した大ヒットナンバー。こちらのリミックスを手がけているのは、ファンクユニット「UNISONAIR」の元メンバーである庄野賢一です。
07:You Make Me/MONDAY MICHIRU
「秋吉満ちる」の芸名で 1987 年に映画「光る女」へ出演し、第 11 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。1991 年からシンガーとして活動を開始し、芸名を「Monday満ちる」と改名。このナンバーは 1998 年にリリースされヒットした曲で、アーケード音楽ゲーム「beatmania II DX」にも収録されたことで幅広い層へ人気を獲得しました。
08:Skindo-Le-Le(M.G.SAMBA REMIX)/YASUKO AGAWA
日本を代表するジャズシンガー、また女優として映画やトーク番組「オシャレ30・30」に出演するなど幅広い活躍をした阿川泰子のヒットアルバム「SUNGLOW」に収録され、非常に評価の高かったナンバーです。この隠れた名曲をリミックスするのは、クラブで人気の高い MONDO GROSSO の大沢伸一です。
09:No No No(Flipper’s + HF Mix)/KOIZUMIX PRODUCTION
原曲はキョンキョンこと小泉今日子が 1990 年にリリースしたアルバム「No.17」に収録されたナンバー。この「KOIZUMIX PRODUCTION」は、渋谷系の代表的なバンド「フリッパーズ・ギター」の作曲を担当している藤原ヒロシがプロデュースするリミックス・プロジェクト。
10:L.A.Night(12 inch Version)/YASUKO AGAWA
こちらも阿川泰子のナンバーで、1986 年にイギリスのロンドンでリリースされ、ダンスチャートを急上昇した名曲。イギリスに続いて翌年には日本でもリリースされ、自身も出演していたトーク番組「オシャレ30・30」のエンディングテーマとして起用されました。
11:LEMON TEA(FPM bootleg mix)/SHEENA & THE ROKKETS
SHEENA & THE ROKKETS は福岡出身のロックバンドで、こちらのナンバー「LEMON TEA」はファーストアルバム「Sheena & the Rokkets #1」に収録され長らく人気を保った名曲。 FPM こと「ファンタスティック・プラスティック・マシーン」の田中知之がリミックスを担当しています。こちらのバージョンは 2004 年にリリースされたリミックスCD「ELECTROKKETS」に収録されました。
12:タイミング ~Timing~ /ブラック・ビスケッツ
バライティ番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!! 」から生まれた音楽ユニット「ポケット・ビスケッツ」のライバル的なグループとして南々見一也(南原清隆)とビビアン・スー、天山(天野ひろゆき)が結成したユニット。 CD 売上が 200 万枚を超える大ヒットナンバーです。作曲を中西圭三と小西貴雄が手がけています。日本のみならず、ビビアンの本国である台湾でも人気でした。
13:ビューティフル・サンデー(CLUB MIX)/田中星児
NHKの幼児番組『おかあさんといっしょ』の初代うたのおにいさんとして活躍。シングル「オー・マリヤーナ」の B 面曲としてダニエル・ブーンのヒット曲「ビューティフル・サンデー」をカバーしたところ、こちらの方が評判になったという曲です。リミックスを手がけるのは浜崎あゆみや安室奈美恵などの曲のリミックスも手がけた重鎮「ダブ・マスターX」です。
14:DA.YO.NE/EAST END × YURI
GAKU-MC を中心としたイーストエンドと、東京パフォーマンスドールの市井由理からなるユニットで、ファーストリリースのヒット曲 EP 「denim-ed soul」からのシングルカット。リリース当初は注目されませんでしたが、北海道でヘビーローテーションを獲得したことから地方を中心に人気が上昇し、翌年に大ブレイクします。日本人制作によるヒップホップ CD で初となるミリオンセラーを記録。地方の方言でカバーするバージョンも続々と登場し、一大ムーブメントとなりました。
Worldwide SIDE
続いて2枚目の「Worldwide SIDE」をご紹介します。
こちらは、正真正銘ディスコヒットですね!
どれもディスコで聞き覚えのあるナンバーだと思います。
01:MICKEY/TONY BASIL
ジャケットがチアリーダーということで、チアリーディングの曲としてもおなじみの大ヒット曲。意外と知られていませんが、この曲はカバー曲で、オリジナルは 1979 年にリリースされたイギリスのグループ「Racey」の曲「Kitty」です。リリース当初はイギリスで話題となり、のちにアメリカでも大ヒットしました。日本でもバライティ番組「ワンナイR&R」の企画で松浦ゴリエがカバーしたバージョンもヒットしました。最近は Youtube で再びゴリエちゃんが復活していますね。
02:CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU/BOYS TOWN GANG
こちらのディスコ定番曲も意外とカバー曲というのは知られていなかったりします。オリジナルは 1967 年に全米チャート 2 位を記録したフランキー・ヴァリ。以降、様々なアーティストによって歌い継がれてきた名曲中の名曲といえる「君の瞳に恋してる」ですが、やはりボーイズ・タウン・ギャングによるカバーは別格でしょう。現在でもダンスフロアを始め、 テレビの CM などに起用されるなど根強い人気を保っています。
03:MOSKAU/GENGHIS KHAN
1979 年にリリースされたジンギスカンのセカンドシングル。本国のドイツで大ヒットし、日本でもディスコをはじめラジオでも人気を獲得しました。また、 2000 年代に入って Flash 動画のネタに使用されたことから「もすかう」の呼び名でネット世代にも人気となりました。
04:FRIDAY NIGHT/ARABESQUE
ファーストシングル「ハロー・ミスター・モンキー」がヒットしたアラベスクのセカンドシングル。このナンバーは前作と比べると華やかさはありませんが、日本人好みの哀愁を漂わせたダンスナンバーで人気でした。その後も「フライ・ハイ」や「恋のメリーゴーランド」などのヒットを飛ばしています。
05:VENUS/SHOCKING BLUE
ハイエナジー時代のバナナラマによるカバーが有名ですが、オリジナルはこちら。 1970 年に全米ヒットチャート 1 を記録したスタンダードナンバーとして幅広い世代に愛され続けている楽曲です。クラブ世代では横田商会こと「Y & Co.」によるリミックスがおなじみかもしれません。
06:THE HUSTLE/VAN McCOY & THE SOUL CITY SYMPHONY
「ハッスル」は 1975 年に全米チャート 1 位を記録し、グラミー賞「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル賞」を受賞したヴァン・マッコイの大ヒット曲で、後のディスコサウンドに大きな影響を与えました。プロレス団体の「ハッスル」でも使用されていたので、そちらで記憶に残っているという人もいるかもしれません。
07:THE HUSTLE JET/Dr.DRAGON & THE ORIENTAL EXPRESS
続いて和製ハッスル・ナンバーへ。ファーストシングル「セクシー・バス・ストップ」がヒットしたスタジオミュージシャンによる覆面ユニット「Dr.ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス」のセカンドシングル。この謎のユニットの正体は、筒美京平によるプロジェクト。
08:CAN’T GIVE YOU ANYTHING (BUT MY LOVE)/THE STYLISTICS
「誓い(You Make Me Feel Brand New)」が世界的に大ヒットしたスタイリスティックス 。この「愛がすべて」こと「CAN’T GIVE YOU ANYTHING (BUT MY LOVE)」はアメリカでは中堅ヒットでしたが、日本ではアメリカを上回る人気を獲得し、ディスコでパワープレイされました。男性用化粧品のテレビ CM でも長く使用されていたことから、ディスコには行かなくてもこの曲は耳に残っているという人も多いでしょう。
09:SEXY BUS STOP/Dr.DRAGON & THE ORIENTAL EXPRESS
作曲家の筒美京平が手がけたナンバーで、当時流行していたバス・ストップでビクターが契約している曲がなかったことから制作された和製バス・ストップ。後に歌詞をつけて浅野ゆう子がカバーしています。
10:PICK UP THE PIECES/AVERAGE WHITE BAND
AWB ことアヴェレージ・ホワイト・バンドは 1972 年にイギリスのスコットランドで結成された白人ファンクグループです。この曲はチャカ・カーンなどを手がけた敏腕プロデューサーであるアリフ・マーディンを迎え、 1975 年全米チャート 1 位を獲得しました。
11:CLAP YOUR HANDS TOGETHER/FUNKY BUREAU
1976 年に「Boogie Walk」でデビューし、「Disco Jack」に続きサードシングルとしてリリースされたのがこの「CLAP YOUR HANDS TOGETHER」。プロデュースはハッスル本田で、 1992 年にはクラブテイストの強い「Clap Your Hands Together ’92」がリリースされました。
12:HAVE SOME FUN/BT EXPRESS
1974 年に「Do It (‘Til You’re Satisfied)」が全米 2 位となる人気を獲得、続くシングル「Express」「Peace Pipe」もヒットしたアメリカのファンク・バンド「BT EXPRESS」。こちらは 1980 年にリリースされたアルバム「1980」からのカットで、ディスコの定番曲として長く踊られています。
13:SHOW ME/THE COVER GIRLS
1986 年にデビューシングルとしてリリースされ、翌年にはイギリスや日本でもヒット。テレビドラマ「男女7人秋物語」主題歌として起用された森川由加里のカバーもおなじみ。 1999 年には横田商会(Y & Co.)によるリミックスも制作されました。
14:I CRY FOR YOU/SHY ROSE
1987 年にリリースされたシャイ・ローズのデビューナンバー。日本人好みの哀愁感たっぷりなハイエナジーサウンドで根強い人気を保ちました。イタリア出身で、スイスではモデルとして活躍していたというユーロ・ハイエナジーのアーティストっぽい感じがたまりません。
15:CHA CHA CHA/FINZY KONTINI
1986 年にデビューシングルとしてリリースされディスコ中心にヒットしたナンバーですが、テレビドラマ「男女7人夏物語」の主題歌としてカバーされた石井明美のバージョンの方も人気でした。ハイエナジーの定番曲「In the name of love」もフロアではおなじみで、こちらは dream によってカバーされてたりします。
16:DON’T LET ME BE MISUNDERSTOOD/SANTA ESMERALDA
邦題は「悲しき願い」で、オリジナルは 1964 年のニーナ・シモンによるナンバー。有名になったのは 1965 年にイギリスでシングルチャート 3 位となったアニマルズによってカバーされたバージョンでしょう。このアニマルズのバージョンへ、さらにラテン系のリズムを取り入れたカバーがサンタ・エスメラルダのバージョンです。こちらもディスコで大人気でした。
17:BREAK ME INTO LITTLE PIECES/HOT GOSSIP
イブリン・トーマスの「ハイ・エナジー」やミケール・ブラウンの「ソー・メニー・メン」など、 1980 年代のハイエナジー・サウンドで欠かすことのできないプロデューサーであるイアン・レヴィンが手がけたナンバー。ホット・ゴシップの代表的なナンバーといえるでしょう。こちらの曲も dream によって「E.I.E.N」という曲名でカバーされています。
18:YOU MAKE ME FEEL(MIGHTY REAL)/SYLVESTER
1978 年に全米ソウル・チャートで 20 位にランクインしたシルヴェスターの代表曲。「Dance (Disco Heat)」とカップリングで発売され、全米ディスコチャートは 1 位を記録。現在にいたるまで何度もリミックスされて、ディスコ世代だけでなく、最近の若いクラブ世代にも人気がある永遠の名曲です。テン・シティのボーカル「バイロン・スティンギリー」のカバーも大ヒットしました。
19:DSCHINGHIS KHAN/GENGHIS KHAN
この「ジンギスカン」をはじめ、「モスクワ」「ハッチ大作戦」など数々のヒットを生み出したジンギスカン。近年でも突如復活した「たけのこ族」の間でもよく踊られたナンバーでした。アイドルグループ「Berryz工房」によるカバーも話題となりました。
まとめ
1970 ~ 80 年代のディスコヒットを収録したコンピレーションは星の数ほどありますけど、邦楽のディスコヒットと洋楽のディスコヒットをミックスしたコンピレーションというのは、あまり例がないのではないでしょうか?
邦楽サイドはリミックスが中心になりますが、これは現場でプレイされたバージョンを収録するという強いこだわりを感じました。洋楽サイドは定番モノをしっかり押さえ、かゆいところに手が届く選曲となっています。
入手の難しいレアな曲も収録されていますので、 1 枚持っていてもいいと感じるコンピレーションです。気分に応じて邦楽・洋楽に切り替えができるので、ドライブの BGM 用に車にあってもいいでょう。
この「DISCO GROBAL CUTS」は楽曲・ボリュームとも満足度の高い CD ですのでオススメです。