音楽

80年代にヒットを連発した元PWLのストック&エイトキンが90年代にプロデュースしていた名曲

80年代のディスコ時代にデッド・オア・アライブやカイリー・ミノーグ、バナナラマなど一連のユーロビート・アーティスト達をチャートに送り続け、まさに世界中にユーロビート旋風を巻き起こした伝説のプロデュースチームである「PWL」。このプロデクションに所属していたマイク・ストックとマット・エイトキンが90年代に新たに設立したレーベル「Love This Records」からもヒット曲・名曲がたくさん生まれています。

オリジナル曲もありますが、やはりカイリー・ミノーグの「ロコモーション」やバナナラマの「ヴィーナス」に代表されるように過去のディスコ・ソングやポピュラー・ミュージックの名曲をカバーすることが多く、ニュートンの「スカイハイ」やニッキー・フレンチの「愛のかげり」が代表曲と言えます。そういった名曲のカバーのみで構成された「DANCE COVER SENSATION」も話題となりました。

日本ではニッキーの「愛のかげり」が95年に開催された「avex dance Matrix ’95」のテーマ曲に使用されたり、タジャーナの「サンタマリア」がアトランタオリンピックの大会速報のBGMに使用されたりしてダンスシーンだけでなく、ポップフィールドでも幅広く受け入れられました。現在のディスコ・イベントでもサンタマリアがかかったりすることもあり、流れるとすぐ体が反応します。

そして、名古屋のラジオ局「ZIP-FM」では、ほとんど無名であったジョン・オーティス(実はかつてPWLからも曲をリリースしている)の「Nothings Gonna Change My Love For You(変わらぬ想い)」がチャートTOPを獲得し、大きな話題となりました(翌年にはF.R.Davidのカバー「Words」が再びチャート1位を記録します)。PWL時代から衰えることのないその仕事ぶりは、ダンスシーンだけではなく洋楽ポップフィールドまで浸透していきました。

80年代のユーロビートブーム以降も名曲をリリースしていたストック&エイトケン。そんなナンバーを振り返ってみたいと思います。

ハイエナジー・ユーロビートの時代からユーロダンスの時代へ

やはり80年代、PWL時代の彼らはハイエナジー・ユーロビートという印象が強いと思います。しかし、時代は変わり、ディスコや音楽市場で受け入れられるサウンドも変化しました。

時代に合わせ、彼らもダンスとポップスを中心に様々なジャンルが融合した「ユーロダンス」というジャンルで新たに楽曲をプロデュースしていきます。

特にボニー・タイラーの名曲「愛のかげり」のカバーで大ヒットしたニッキー・フレンチは、現在でも楽曲をリリースし続けるほど活躍しており、彼らのプロデュースの中で最も成功したアーティストでしょう。

90年代のストック&エイトケン・プロデュース曲

Total Eclipse Of The Heart/Nicki French

Total Eclipse Of The Heart/Nicki Frenchやはり、この曲は外せないでしょう。ボニー・タイラーが1983年に放ったヒット曲「愛のかげり」のカバーであり、オーストラリアで1位を獲得。U.K.でも大ヒットし、その後アメリカでもリリース。ビルボードHOT100で最高位2位まで上昇しました。後に自身のプロダクションを設立してリリースしたシングル「Ti Amo」が話題になります。「Ti Amo」は特に東海地域で人気が高く、ラジオやクラブでもよくプレイされました。イギリスでは現在でも活動しており、2022年には新曲「Last Dance」を発表しています。

Heaven Is A Place On Earth/Nicki French

House Revolution Presents International Grooveオリジナルは元「Go-Go’s」のメンバーとして知られるベリンダ・カーライルのディスコ定番曲。ニッキー・フレンチのカバーは、日本ではデビューアルバムのボーナストラックに収録されていました。この曲以降、ダンスシーンでは「Heaven Is A Place On Earth」のカバーが(特にトランス方面で)多くなった印象がありますね。名古屋のレコードショップ「MEGA-MIX Records」の店長がRe-Editした「Extended M-Mix」も存在します。このリミックスは「House Revolution Presents International Groove」に収録されています。

Sky High/Newton

Sky High/Newtonご存知、ジグソーの説明不要の大ヒット曲であり、レジェンド・プロレスラー「仮面貴族」こと「ミル・マスカラス」の入場テーマとしてもおなじみですね。ニュートンのデビューシングルとなるこちらのカバーもヒットしました。原曲は「Pete Hammond」のリミックスなんかあってディスコでも超ロングヒットしていましたが、このカバーの非常にノリもいいし使いやすいので、現在でもディスコ・イベントでニュートンの「Sky High」がプレイされたりします。

Santa Maria/Tatjana

Santa Maria/Tatjana1996年に大ヒットしたカラフルでキャッチーなユーロダンス。アトランタオリンピックの速報テーマ曲としても起用されたので、普段ダンスミュージックを聞かないという人でも記憶に残っているかもしれません。テクノ、トランス、ラテン、ユーロビートなど、その年の流行に合わせて様々なリミックスが制作されて息の長いロングヒットとなります。現場では横田商会の「Y & Co.Remix」が人気でした。タジャーナは日本ではあまり知名度の高くないアーティストでしたが、「Chica Cubana」や「Awaka-Boy Boy」など80年代のハイエナジー時代からヒット曲をリリースしているベテランです。

Ridin’ High/Serena

Ridin' High/Serena1990年に「My Boy Lollipop」をディスコ・カバーしたセレナを起用し、大ヒットしたタジャーナの「Santa Maria」を踏襲したユーロダンス。その筋の人たちには第二のサンタマリアと期待されていましたが不発でした。しかし、一部では根強い人気もあり、1998年には「Happenin’ All Over Again」でデビューし、イギリスNo.1のソープ・オペラ「コロネーション・ストリート」のマキシン役で有名な「トレイシー・ショウ」によってカバーされています。

No Surrender/Deuce

No Surrender/Deuceペット・ショップ・ボーイズや「East 17」などのマネージメントをしていたトム・ワトキンスと彼の事務所で働いていたケリー・オキーフによって結成されたデュース。デビューシングル「Call It Love」はイギリスで11位まで上昇するヒットになりました。続く「I Need You」「On The Bible」もチャート10位台をマークし、ポップシーンだけでなくクラブでも大人気アーティストとなります。4枚目のシングルは、今までのダンス色を抑えたポップなナンバーで、かつてのPWLサウンドを思い起こさせる良曲です。残念ながら、日本ではほとんど紹介されていませんね・・・。

Because You Loved Me/Suzann Rye

Because You Loved Me/Suzann Ryeかつての名曲をダンスカバーすることでも定評のあった彼らですが、90年代でもその手腕は衰えることなく「DANCE COVER SENSATION」といったカバーCDもリリースしていたストック&エイトケン。過去のヒット曲だけではなく、1996年に大ヒットしたセリーヌ・ディオンが歌う映画「アンカーウーマン」の主題歌「Because You Loved Me」の名曲を大胆にもカバーしました。

Windmills Of Your Mind/Sally Anne Marsh

Windmills Of Your Mind/Sally Anne Marsh「風のささやき」という邦題でおなじみのこのナンバー、オリジナルは映画「華麗なる賭け」のテーマソングでノエル・ハリソンが歌っています。様々なアーティストによってカバーされている名曲ですが、特に有名なのは1999年にリメイクされた映画の主題歌を歌うスティングのバージョンでしょうか。サリー・アン・マーシュが歌っているのは96年なので、純粋にオリジナルのカバーだと思われます。

No More Tears (Enough Is Enough)/Kym Mazelle & Jocelyn Brown

No More Tears (Enough Is Enough)/Kym Mazelle & Jocelyn Brownオリジナルは1979年にリリースされたバーブラ・ストライサンドとドナ・サマーの曲で、全米1位を達成した名曲です。こちらのカバーは「Wait!/Robert Howard」「Missing You/Soul II Soul」などでボーカルを努めた1990年代初頭を代表するディーヴァのひとりであるキム・マーゼルと、「Incognito」「Todd Terry」「Nuyorican Soul」などのボーカルにも参加する実力派ディーヴァのジョセリン・ブラウンによる強力なデュエット・ナンバー。ユーロダンス・スタイルのカバーながら、彼女らのソウルフルなボーカルが魅力の曲です。

No Turning Back/Jayne Collins

No Turning Back/Jayne Collins1985年にデビューシングル「Madonna’s Eyes」が注目を集めたジェイン・コリンズ。タジャーナ同様、かつてのハイエナジー・アーティストを起用してユーロダンスを量産するのが、ストック&エイトキンの90年代スタイルでした。全くヒットしませんでしたが、80年代のハイエナジーを思い浮かべるやさしいダンスサウンドが魅力です。

Sleeping In My Car/Mobius Loop feat.Julie ‘Zee’

Sleeping In My Car/Mobius Loop feat.Julie 'Zee'ストック&エイトキンによる覆面プロジェクトがこの「Mobius Loop」。主にリミックスなどのエンジニアリングの名義でしたが、アーティストとして1曲だけリリースしています。曲名を聞いてわかるとおり、1994年にヒットしたスウェーデン出身のバンド「ロクセット」によるヒットナンバーのカバーですね。「Because You Loved Me」などもそうですが、90年代に入って(当時としては)比較的新しい楽曲のカバーも多くなってきました。

It’s Raining Men/Westend

It's Raining Men/WestendイギリスのDJ、ジャーナリスト、プロデューサーなどマルチな活動をするエディ・ゴードンのユニットがウェストエンド。PWL時代に「Sybil」をボーカルに迎えた「The Love I Lost」がU.K.クラブプレイ・チャートで5週連続1位を記録しています。再びストック&エイトキンと手を組んだこのカバーは、ご存知「ハレルヤ・ハリケーン」という邦題でおなじみのウェザー・ガールの大ヒット曲。壮大なメロディーと力強いボーカルがいいですね。「Just A Little Bit/Gina G.」でおなじみの「Motiv 8」がリミックスしたバージョンもあります。

Saturday Night/Sindy

Saturday Night/Sindyオリジナルは新人ながらU.K.でもTOP1を記録し、ヨーロッパ中心に猛威を振るったウィッグフィールドのメガヒット曲MAXが「恋するヴェルファーレダンス」という曲名でカバーしていたりもします。このレジェンド曲をストック&エイトキンのプロデュースでカバーということで超期待・・・していましたが、手に入りませんでしたし、今まで聞いたこともありません。未だに欲しい1曲です。配信されませんかね?探してたら配信されてました!

ABOUT ME
烏袮コウ
新人Vtuber。90年代のダンスミュージックとアニメが好き。ゲームはPS1~2くらいのオールドスクールを好みます。DJをしていたこともあります。(※当ブログではAmazonのアソシエイト・プログラムに参加しています。Amazonのアソシエイトとして、烏袮コウは適格販売により収入を得ています)